“われわれは、分析においては革新的、理念においては理想的、方法においては保守的、行動においては現実的でなければならない”
— ピーター・ドラッカー
こんにちは、西田です!
すでにコロナパンデミックが始まってから3年ほどになりますが、その間多くの「専門家」と言われる人たち、さらにメディアや政府が流し続けてきた情報の多くは今になって振り返ると大きく間違っていたものばかりでした。
日本での状況は正直よくわかりませんが、アメリカではすでにメジャーなメディアでさえ以下のことは「間違い」だったと認めざるを得ないほどです。
マスクは感染を減らす (リンク)
ワクチンは感染を減らす リンク)
コロナには自然免疫が効かない、ワクチンの方が効果ある (リンク)
COVID19のウイルスは武漢研究所からの漏洩ではなく自然発生 (リンク)
こうした間違いは、日本の社会にとっては致命的となるものでした。特に若年層、子供たちにとっては様々な課外活動などが中止になり、同級生や先生の素顔を見ることなしに3年が終わってしまいました。さらに、全体での死亡者数は増え、自殺者数も増え、さらには出生率は過去最低を記録するという、日本という国自体が、イーロン・マスクのような外の人たちにまで心配されるほど危機的な状況に陥ってしまうこととなりました。
私の住むフロリダは2020年の7月にはロックダウンを解除し、8月の新学期からは学校も規制なし、ビジネスへの規制もなしという状況であったため、あまりコロナパンデミックによって生活が大きく変わってしまったという感覚は現地の人達にはなく、私のように規制の激しかったカリフォルニアから逃れて来た人たちとは話が噛み合わないことがあるほどです。
それではなぜ、フロリダ州政府はアメリカ連邦政府やメディアの「公的」な見解とは逆の方向へさっさと舵を切り、結果としてアメリカでは今となっては誰もが「正しかった」と認識される政策を打つことができたのでしょうか。(リンク)
フロリダは自由を求める人たちが強く、規制を嫌ったからだと思っている人が多いのですが、そんなに単純ではありません。それを言うなら、なぜ他の共和党が強い州では同じようにさっさと規制を解除しなかったのかに答えることができません。
実は、フロリダのデサンティス知事は「データ・ジャンキー」と言われるほどにデータを自分の目で毎日見ることで知られています。(リンク)
もちろん、データを見れば全てが解決するとか単純なことを言おうとしているのではありません。ただ、少なくとも、感情やメディアで主流となる見解に流されるのではなく、疑問に思うことを自分の目でデータを見ながら答えようとしていったというこです。
フロリダも当初はビーチの閉鎖も含め思い切ったロックダウンに走りました。また、2021年始めにワクチンが出荷され始めたときも、ワクチンを素早く全州レベルで提供し始めました。
しかし、共和党系の州も含め他の州と決定的に違ったのは、自分たちの仮説を絶えずデータを使って検証し、必要であれば素早く思い切って軌道修正していったことです。これが、全米でどこよりも早く、ロックダウンを解除し、学校でのマスクの強制を禁止し(リンク)、子供、若者、さらに40歳以下の男性へのワクチンの推奨を止め(リンク)、逆に、エキササイズやビタミンCなどを取ることを推奨していくことになりました(リンク)。
ところで、もちろん全ての専門家、ジャーナリストが間違ってたわけではなく、結果的に「正しかった」人たちは多くいました。これは偶然ではなく、必然ではないかと思います。というのも、こうした人達に共通しているのは、いづれもデータリテラシーが高い人達だったのです。
これはただ統計学に詳しいという意味でのデータリテラシーではありません。データを使って何が「正しい」のかを追求するためには、データを使って流される「間違った」情報を見抜く能力が必要となりますが、この意味でのデータリテラシーです。
彼らは、有名な医療ジャーナルや政府お抱えの専門家が操作する数字や「研究結果」と呼ばれるものをそのまま受け入れるのではなく、例えば、サンプル数、バイアス、信頼区間、有意性、といった統計の知識を使って自分の目で検証しようとする態度を持ち続けました。
「間違い」を意図的に、または無意識のうちに広める政府やメディアに対する最も効果的な防御策は、それぞれの人がデータを使って流される「間違った」情報を見抜く能力という意味でのデータ・リテラシーを身につけることです。
そこで、今月の来日に合わせ23日(木曜)に開催予定のデータリテラシー・セミナーでは、データと統計を使って人を騙すために使われる10のテクニックと罠を紹介し、それらが今回のこのコロナパンデミック下ではどのように使われてきたのかという話をします。
最低限の統計的なコンセプトを知っていれば、自分に都合のいい数字やチャートを作る人がでてきたとき、これはあのテクニックや罠を使って人を騙そうとしているのかな?と立ち止まって考えることができるようになります。
こうした基本的な罠を知ることで、より多くの人たちが簡単に騙されることなく、自分のため、自分の大切な人たちのために、そして日本という国のためにより良い意思決定ができるようになればと思います。
お時間の都合のつく方はぜひこちらのリンクよりお申し込み下さい。参加費は無料です。
最近の興味深いデータ関連記事
意思決定のサイエンス
私が経営する会社Exploratoryはビジョンとして「より多くの人がデータを元により良い意思決定ができるようになる」を掲げ、そのために「データサイエンスを民主化する」ことをミッションにして毎日活動しています。
しかし、そもそも「意思決定」とは何なのでしょうか?
「意思決定」とは当たり前で誰でも分かっているようでいて、実は誰もよく分かっていないかったりします。
そこで、今回は「意思決定」とは何か、そもそも何のために私達は「意思決定」をするのか、その上でどのようにしたらより良い意思決定が行えるようになるのか、という点に関して非常によくまとめられた「How to make better decisions」という記事があったのでこちらで翻訳というかたちで紹介したいと思います。
レコメンドシステムの落とし穴 Part 3
AmazonやYoutubeなどのレコメンドシステムは、AIやビッグデータによってユーザーの「好み」を理解している、という前提がありますが、実はユーザーの「好み」を正確に理解するのは思ったより難しいものです。
「好み」というのは誰もがわかっているようで、実はよくわかっていない。それだけに何らかのプロダクトやサービスを提供している人達にとってユーザーや顧客の「好み」を知るのは難しいという話を過去2回に渡ってしてきました。
ただ、「好み」を知るのは難しいで終わってしまってはただの学術論文やウンチクと変わりません。そうではなく、そうした前提がある中でそれでも何かできることがあるのではないでしょうか。
このシリーズの最後となる今回は、まさにこうした問いに対していくつかのヒントを提示します。
ヨーロッパのデータ関連職の給料ベンチマーク
Europe data salary benchmark 2023 - リンク
過去にもデータサイエンティストを含めデータ関連職の給料に関した情報を紹介したことがありますが、今回はヨーロッパのデータ関連職の給料水準に関するものです。
今回の調査にはヨーロッパの数百の企業で働くデータアナリスト、データサイエンティスト、アナリティクス・エンジニア、データ・エンジニアが対象となっているとのことです。
以下がレベル(職位)による給料の分布です。シニアレベルでも中央値は$113,000(約1,500万円)ほどなのでアメリカに比べるとそこまで高くないようです。
以下のチャートはベルリン、ミュンヘン、アムステルダム、ロンドン、ダブリンといったそれぞれの都市での給料の分布、さらに上位の企業となります。
このレポートの中では、Airbnb、Google、Meta(Facebook)などでは$300,000(約4,000万円)を超えるデータ関連の仕事をしている人たちがいるとのことです。ヨーロッパでもデータ関連職で高い給料を求めるのであればアメリカのテック企業となるということなのでしょうか。
データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニング #29 & #30
次回の「データサイエンス・ブートキャンプ」はこの3月となりますが、いよいよ3年ぶりに東京での開催となっております。さらに6月のトレーニングも東京での開催が決まりました!
どちらもクラスルーム形式での開催となりますが、オンラインでも同時参加できるようになっております。
ビジネスのデータ分析だけでなく、日常生活やキャリア構築にも役立つデータリテラシー、そして「よりよい意思決定」をしていくために必要になるデータをもとにした科学的思考もいっしょに身につけていただけるトレーニングとなっています。
データサイエンス、統計の手法、データ分析を1から体系的に学ぶことで、ビジネスの現場で使える実践的なスキルを身につけたいという方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時:
2023年3月22日(水), 23日(木), 24日(金)
2023年6月20日(火), 21日(水), 22日(木)
データリテラシー・セミナー3月23日開催!(無料)
今月の来日のタイミングに合わせ、対面でのセミナーとその後の懇親会を開催する予定です!
データを使って流される「間違った」情報を見抜くために、みなさんに知っておいて欲しい
「データと統計を使って人を騙す10の方法」がテーマです。
ぜひご参加下さい!
日付 : 2023年 3月23日(木)
時間:18:30 - 20:00 - セミナー、20:00 - 懇親会
会場:AP東京八重洲(東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル 12F
データサイエンス勉強会3月22日開催!(無料)
3月22日(水)に「Exploratoryデータサイエンス勉強会 #27」を開催します!
今回は3年ぶりとなるオフライン(東京)での開催です!みなさまと直接お会いできることを楽しみにしております。
また、オンライン(Zoom)でも配信する予定ですので、遠方にお住まいの方もご参加いただけるようになっています。
お時間の都合のつく方は、以下の詳細ページより参加をお申し込みの上ご参加下さい!
日付 : 2023年 3月22日(水)
時間:18:30 - 20:00 - セミナー、20:00 - 懇親会
会場:AP東京八重洲(東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル 12F
以上となります。
それでは、素晴らしい週をお送りください!
西田, Exploratory/CEO
KanAugust