“推定したことが実験結果と辻褄が合わなければ、それは間違っている。
このシンプルな一文こそがサイエンスなのだ。”
リチャード・ファインマン、物理学者
こんにちは、西田です!
今年も残すところあと僅かとなりました。
先週は3年ぶりの来日を果たし、多くの方と直接お会いし、たくさんのエネルギーとこれから先に向けてのインスピレーションをいただくことができました。
日常生活においてコロナがすっかり過去のこととなっているフロリダから、未だにほとんどの人がマスクを着用し、カフェやオフィスなどあちこちにアクリル板のある東京の街を歩くのはとても不思議な感じがしました。電車の中ではマスクを着用した人達がみんな携帯電話に向かっているのを見ると、世紀末かのような感じさえしました。
しかし、それでも多くの人たちと直接お会いし、特に懇親会のような場で話してみると、3年前と変わらないみなさんの明るい笑顔を見、笑い声を聞き、さらに、これからの日本を良くしていこうとする熱気を感じることができ、こういう人達がいる限り日本はこの困難を超えて大きく飛躍していけるのだろうと嬉しくなりました。
ところで、滞在中にExploratoryのセミナーを開催し、「科学的思考、PDCA、そして保守主義」というテーマでの話をしました。そちらの録画がこちらになります。
マスクやワクチンに効果があるのかないのか、などを含め、もしかしたら当初思っていたことが間違っているかもしれないときに、いつまでも意見を変えることができずにずるずるといってしまうことがよくあります。間違っているのかどうか判断し、必要であれば軌道修正するためには「科学的思考」が必要となります。
そして、この科学的思考を理解すると、なぜ現代のPDCAが間違っているのかが見えてきますし、さらに、「保って守る」だけではなく、「改善して継承していく」という意味での保守主義は、まさに科学的思考から出てきた考え、主義なのだと理解できるようになります。
興味のある方はぜひ上記のビデオをご参照下さい!
今年はこのニュースレターを持って最後となりますが、これまで読んでいただいた皆様、この1年の間お付き合いいただきどうもありがとうございました!
来年も皆様にとって役に立つ、または何かインスピレーションとなる情報や考えを提供できるよう努めていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします!
最近の興味深いデータ関連記事
さようなら、データサイエンス!
この10年近く、世の中には大風呂敷を広げたデータサイエンスのプロジェクトがたくさんありました。どこかに貯めたビッグデータを使い、様々なデータをつなぎ合わせ、最新のAIのアルゴリズムを使い将来を予測し、私達が問題に気づく前に問題を解決してしまいましょう!といった感じの浮ついた話がたくさんありました。多くの企業にデータとかデジタルという名のつくオフィサーが出現し、プロトタイプとして終わることになるプロジェクトを何本も走らせている、そんなバブルの時代がありました。
しかしここ数年のコロナによるビジネスの縮小、世界的なインフレと金利上昇、地政学的リスクやエネルギーの高騰などによって、経済が不景気になり、私の住むアメリカでは多くの企業で大量の解雇が始まっています。これはアメリカだけではなくヨーロッパや日本も同じような傾向があるのではないでしょうか。
ウォーレン・バフェットが昔、「不況になると潮が引いて、誰が裸で泳いでいたのかがわかる」と言っていましたが、データサイエンス業界でも収益の改善、コストの削減などといったビジネスにとって明確な成果につながらないプロジェクトは中止になり、そうしたプロジェクトに関わっていた人は次の仕事を探さなくてはいけなくなってくるでしょう。
そんな中、最近データエンジニアとしてキャリアを歩み始めたという元データサイエンティストの人による「グッバイ、データサイエンス」という記事がありました。これまでやってきたデータサイエンス・プロジェクトの理想と現実の差に嫌気が差し、より明確な結果を出しやすく、また「政治的」になりにくいということで、データエンジニアリングの道を専門としてやっていく道を歩みだしたとのことですが、いくつか参考になる点があったので、一部抜き出してこちらに要約として紹介します。
レコメンドシステムの落とし穴 Part 2 - 「好み」の操作と正当化
私達が日常使うAmazonやYoutubeといったサービスでもレコメンドされてくるコンテンツはたくさんありますが、その中でもほんとうにクリックしたいと思うもの、さらにクリックした後に、クリックしてよかったと思うものは案外少ないといったことはないでしょうか。
現在のようなビッグデータとかAIの時代には、大量のデータを使ってレコメンドエンジンや予測モデルを作れば、ユーザーや顧客が欲しい物を正確に推奨または予測できると思いがちですが、実はユーザーの「好み」を正確に理解するのは思ったより難しいものです。
そこで、このユーザーの「好み」とは何か、どうしたらより正確に知れるのかというテーマでこのシリーズを始めましたが、今回はそのPart 2となります。
前回のPart 1では、「好み」とは何か、選択と幸福と何が違うのかというのを見てきました。
今回のPart 2では、このユーザーの「好み」そのものも必ずしもいつも同じであるとは限らず、実は「好み」がその場の状況によって動的に作られることがあり、それは簡単に外部によって操作されることもあるという話を紹介します。
自動運転の冬はまだ少し早い?
少し前のNewsletterで自動運転の冬の時代がやってきたという話をしましたが、最近、自動運転を提供する側からニュースがいくつかありました。
まずはテスラですが、数週間前にCEOのイーロン・マスクがツイートで、完全自動運転のベータを北米のテスラ・オーナーは使用し始めることができると発表していました。さっそく試している人達がビデオを公開し始めています。
また、Cruiseという自動運転テクノロジーを提供する会社は自動運転タクシーが現在サンフランシスコ市で100台ほど実際にお客を乗せて走っていると発表していました。(リンク)
ただ、最近サンフランシスコ市ではCruiseの自動運転タクシーどうしが立ち往生して渋滞を招いているというのもたまにレポートされてもいます。(リンク)
さらに、カリフォルニアでは来年から運転手の通常監視が必要な「自動運転」を「FSD / Full Self-Driving(完全自動運転)」として販売するのを禁じるということですが、テスラの自動運転はまだ運転手の通常監視が必要という制限があります。
さて、これから冬が来るのでしょうか、それとも一気に春になるのでしょうか、皆さんはどう思いますか?
データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニング #29 & #30
次回の「データサイエンス・ブートキャンプ」は来年1月、そして3月にそれぞれ3日間集中コースとして開催することになっております。
データサイエンス、統計の手法、データ分析を1から体系的に学ぶことで、ビジネスの現場で使える実践的なスキルを身につけたいという方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
ビジネスのデータ分析だけでなく、日常生活やキャリア構築にも役立つデータリテラシー、そして「よりよい意思決定」をしていくために必要になるデータをもとにした科学的思考もいっしょに身につけていただけるトレーニングとなっています。
日時:
平日3日間コース: 2023年1月18日(水), 19日(木), 20日(金)
平日3日間コース: 2023年3月22日(水), 23日(木), 24日(金)
アンケートデータ分析トレーニング 2月開催
アンケートデータを使って顧客をより深く、多面的に理解するために必要な データの加工、可視化、そして分析手法を基礎から効率的に学び、 現場で使えるスキルを身につけていただくためのトレーニングです。
日時: 2023/2/9 (木)
以上となります。
それでは、2023年がみなさまにとって素晴らしい飛躍の年となりますよう、祈っております!
良いお年を!
西田, Exploratory/CEO
KanAugust