Exploratory Newsletter Vol. 70
こんにちは、Exploratoryの西田です。
ようやく、日本では非常事態宣言が解除され、少しづつかもしれませんが街に活気が戻ってきたと聞いております。このまま日本の経済の復活、そして明るく元気な日本が戻ってくることを祈っております。
私は先週、どんどんと窮屈になるカリフォルニアを出て、自由なフロリダへ家族とともに引っ越してきました。毎日30度を超える真夏な毎日ですが、新しい人生の幕が開かれたということで楽しく頑張っていきたいと思っています。
それでは、今週のWeekly Update、さっそくいってみましょう!
最近の興味深い英文の記事
ジョージ・ボックスの教え - 演繹と帰納の繰り返し、それが真実に迫るための思考プロセスだ
データ分析には「確証的データ分析」と「探索的データ分析」という2つのタイプがあります。
こういうと少し難しそうに聞こえますが、これは私達が真実に迫っていくための考え方のスタイルの違いで、哲学の世界では「演繹」と「帰納」的思考と呼ばれているものです。
私達はこの「演繹」と「帰納」的思考という2つの考え方の間を言ったり来たりしながら、現状をより正確に理解し、真実に迫っていくものです。
この説明のために、統計学の世界の大御所であるジョージ・ボックス (1919-2013) が「発見のための統計学」という記事の中で、「裁判」と「探偵」の例を使って説明していたので、一部を要約し紹介したいと思います。
Netflixは顧客データをもとにした質の高い独自コンテンツでチャーンを減らしている
How Netflix Maintains Low Churn & High Customer Retention - リンク
2億人以上の有料ユーザーを抱えるNetflixが、どのようにチャーンを減らし高いリテンション率を維持しているかという記事です。
特に注目したいのは、最近のNetflixの月次チャーン率が2.4%と低く、競合であるHuluの半分程度という点です。
Netflixはユーザーの視聴履歴のデータを活用し、ユーザーに気に入ってもらえそうなコンテンツを予測し顧客に提示するだけでなく、質の高い「独自コンテンツ」を提供することで顧客の満足度を高めています。
質の高いコンテンツ(サービス)を提供するだけでなく、データを活用することで質の高いコンテンツをより良い形で顧客に体験してもらい、それが良いリテンションにつながっていると言えそうです。
SaaSが効率的に成長しているかは、レイヤーケーキ・チャートで理解できる
Learnings from the latest SaaS IPO - リンク
先日IPO(株式上場)をしたID管理のSaaSであるForgeRockのビジネス指標からの学びに関する記事です。
特に注目したいのは、購読を開始したタイミングごとに顧客をコホート(グループ)に分け、それぞれの顧客からの収益を積み上げたレイヤーケーキ呼ばれるチャートです。
この記事にあるレイヤーケーキ・チャートからは、既存顧客からの収益を伸ばせていること、最近の顧客からの収益もしっかりと積み上がっていることも分かります。
このように、うまくいっている企業は、新規顧客の獲得と既存顧客からのエクスパンションがバランスよくできているため、ビジネスをより速いスピードで成長させることができています。
レイヤーケーキ・チャートの作り方に関しては、以下のページに詳しくまとめていますので、興味のある方はご覧ください。
SaaS アナリティクス #6 - コホート分析 - レイヤーケーキ・チャート -リンク
オフィスを持たないGitlabのIPO申請で注目すべき7つの重要指標
GitLab S-1 Analysis: How 7 Key Metrics Stack Up by @ttunguz -リンク
至上3番目のスピードでIPOを申請したソフトウェア開発プラットフォームのGitlabのビジネス指標に関する記事です。
特に注目したいのは、売上成長率とネット・レベニュー・リテンション率です。前年比の売上成長率は87.3%、ネット・レベニュー・リテンション率は148%となっています。
新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のリテンションとエクスパンションでビジネスの成長を実現できているのが確認できます。
パンデミック期間での癌の早期発見数の減少と後期発見数の増加
Study Finds More Later-Stage CRC Diagnoses During Pandemic - リンク
日本での2020年の胃がん、結腸直腸がんの早期発見数がその前の3年と比べて大きく(統計的に有意なレベル)減っているとのことです。
それに対して、後期ステージであると診断された患者の数は増えたとのこと。
普段であればこれらのがんは医療検診で早期発見されることが多いようですが、パンデミックの間に多くの人が定期検診や医療検診に行かなかったことによるものではないかとのことです。
今後多くの人が後期ステージでのがんの発見を告知されることになるだろうとのことです。
胃がん、結腸直腸がんに限らず、人間にとっての脅威となる病気はたくさんあるわけですが、コロナだけに注目が集まってしまい、その結果こういった事態になっていることは残念です。
これまでにないほどの極端な「ロックダウン」モードに入ってしまったことによる様々な影響がこれからどんどん明るみに出てくるのかもしれません。
今週の名言
you can avoid reality, but you cannot avoid the consequences of avoiding reality.
現実から逃避することはできる。しかし現実から逃避することによってもたらされる状況から逃避することはできないのだ。
—アイン・ランド、小説家 / 思想家
EDAサロン
今月からEDAサロンを再開することになりました!
EDAサロンとは、私たちExploratoryが出題するデータを使ってみなさんに自由に分析や可視化をしていただき、「実際にやりながら学ぶ」をテーマにしている取り組みです。
今月は、Twitterのツイートテキストを使った分析または可視化をみんなでしてみようということで今週から始まっています。興味のある方はぜひ軽い気持ちでご参加下さい!
詳細はこちらのページにあります。TwitterのデータをExploratoryを使って取得し、その後の簡単な分析の例を紹介した録画も同じページから見れるようになっています。
Exploratory データ・アカデミー
データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニング #24
毎回好評をいただいているデータサイエンス・ブートキャンプですが、次回は11月の開催となります。
データリテラシーを高めたい、またはデータサイエンス、統計の手法、データ分析を1から体系的に学び、ビジネスの現場で使える実践的なスキルをつけたいという方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時: 2021/11/9(火), 10(水), 11(木)
講師:西田勘一郎
データサイエンス勉強会 #21
11月12日(金)に「Exploratoryデータサイエンス勉強会 #21」を開催します!
今回も4人のExploratoryユーザーの方たちに、具体的なデータに関する取り組みやデータ分析のリアルの話を共有していただく予定です!
私の方からもいつものようにExploratoryの時期リリースであるv6.8のアップデートをさせていただきます。
お時間の都合のつく方は、以下の詳細ページより参加をお申し込みの上ご参加下さい!
なお今回もオンラインでの開催となります。
今週は以上です。
それでは、素晴らしい週末を!
西田, Exploratory/CEO
KanAugust