Exploratory Newsletter Vol. 111
こんにちは!
Exploratoryの西田です!
みなさん、「ガンホー」という映画聞いたことありますか?
アメリカの1980年代の典型的なドタバタコメディで、潰れそうになった自動車工場に日本からコンサルタントがやってきて立て直すというシナリオの映画です。
映画としてはB級ものなんですが、当時自動車産業をはじめとした製造業において、日本の企業に打ちのめされていたアメリカの当時の雰囲気をつかむことができます。
というのも、今となっては信じられないかもしれませんが、80年代、90年代頃は多くのアメリカ企業が日本の製造業を視察しに行ったり、日本企業の社員を派遣してもらって「指導」してもらったりしていました。
そしてみなさんご存知のアマゾンもそうした企業の一つでした。
「なぜ床掃除をしているんだ?そんな時間があるなら、ホコリが出る原因を取り除け!」
これは、2000年代初め頃に倉庫の床掃除をしていた当時ジェフ・ベゾス氏(アマゾン創業者/元CEO)に対してカイゼン(改善)の指導をしていたトヨタ出身のコーチが放った言葉です。
ベゾス氏によると、当時「カイゼン」コーチからよく怒鳴られていたとのことですが、こうした指導によりアマゾンはその後ビジネスを継続的に改善していく仕組みを作ることに成功し、今となっては時価総額にしてトヨタを超え、世界トップ5、カナダやオーストラリアのGDPに匹敵するほどの規模を持つ企業へと成長することとなりました。
驚異的な成功を可能にしたアマゾンの「カイゼン文化」、この文化の核となっているのが毎週実施される「WBR(Weekly Business Review)」です。これはデータを活用し、実験と検証を繰り返しながらコントロールできるインプット指標を探していく仕組みです。
来週から久々の日本ですが、水曜日11日夕方にはデータリテラシー・セミナーとしてこのアマゾンの「WBR(Weekly Business Review)」という仕組みを参考に、企業や組織はどのようにデータを使ってビジネスを改善するための仕組み、そして文化を作っていけばよいのかという話をする予定です。
どのようにデータを活用してビジネスの改善に結びつければよいのか頭を悩ませている多くの人たちにとって、具体的なヒントを提供することができればと思っています。
興味のある方はぜひ、お気軽に会場の方までお越し下さい!直接お会いできるのを楽しみにしております!
データ、AI、意思決定関連記事
知識とは何か?情報と知識を区別するデミング・クライテリア
データを使ってビジネスを改善したいと多くの人が思います。しかし、いざ始めると期待したようにはうまくいかないということが多いのも事実です。
そこで少し立ち止まってそもそもデータを使う、または分析する目的は何なのかを明確にしてみましょう。もちろん、ビジネスを改善するのが究極的な目標ではあるのですが、それではあまりにも抽象的すぎますよね。
実は、データを分析する目的は知識を得ることなのです。
ここで言う知識とは、何かを知っているという意味の知識ではなく、予測に役立つという意味での知識です。こうした知識があればビジネスを改善させるために効果的な施策、対策を打っていくことができるようになります。
そこで今回はこの「知識」とは何かについての話をしたいと思います。
UberとBYD(中国)が10万代のEVと自動運転に関する提携を発表
配送サービスのUberは中国のBYDから10万台のEV車を仕入れることに合意したとのことです。(リンク)まずはヨーロッパ、その後他の地域に拡大していくとのことです。またUberとBYDは自動運転についてのテクノロジーの開発も一緒に行うとのこと。
アメリカではタクシーの代わりにUberを使うのが当たり前ですが、近い将来ロボタクシーが選べるようになるようです。自動運転に関してはアメリカでは現在テスラがかなり先行していますが、そのうちロボタクシーが実現するとすれば、テスラとBYDの2強になるのかもしれません。
AIに怯える世界中のコールセンター特区
フィリピンなど、英語圏先進国に対してコールセンター業務を提供してきた国や都市がAIによって仕事がなくなり始めているとのことです。(リンク)
最近のChatGPTのようなAIはテキストベースでの会話から、音声で会話ができるものへと進化しています。これによって大きなインパクトを受ける仕事の1つが、コールセンターです。
元々、アメリカなどの英語圏の国はコールセンター(電話での対応業務)をフィリピンやインドのような英語ができるが賃金は安い国にアウトソースしてきました。こうした仕事が現在AIに置き換わり始めているため、コールセンター経済というのが崩壊するだろうとのことです。
この30年ほどの間、グローバリゼーションという名の下に多くの仕事がアメリカや日本などの先進国から低賃金で比較的単純な労働力を提供できる発展途上国にアウトソーシングという形で移っていきました。その結果、そうした先進国での産業の空洞化を招き、極端な貧富の差を作り出してきました。今度はそのグローバリゼーションの恩恵を受けていた発展途上国において比較的単純な労働を要する仕事が失くなっていくというのは、歴史の大きな転換点だと思います。
Facebook、Google、Amazonのマーケティング・パートナー企業はあなたのスマホを盗聴している
Facebook、Google、Amazonのマーケティング・パートナー企業がスマホのマイクを盗聴していることが流出文書から判明したとのことです。(リンク)この問題になっている企業の人達はこうしたデータを使って、広告ターゲティングの効率化ができるということを自慢していたとのことです。
こうしたマーケティング会社にできることを、政府や諜報機関が行わないわけがないというのが、アメリカでの常識です。前からこうした話は一部で言われていましたが、旧ソ連の共産主義政府が夢に見ていた監視社会が、ここ「自由主義」世界で実現し始めているというのがなんとも皮肉です。
運転データを勝手に販売していたGMがテキサス州に訴えられる
さらに、音声データだけでなく今度は運転データです。
先月、運転中のドライビングデータを勝手に収集しそれを車の所有者に無断で保険会社に売っていたとのことで、テキサス州が自動車メーカーのGMを訴追しました。(リンク)
車の運転の仕方によって、保険料を上げたり下げたりするのは理にかなっていると考える人もいるかもしれません。しかし、こうしたデータを使えば、あなたが車を使ってどこに行ったのか、誰と会っているのかを追跡することができますし、それらのデータを使ってこれからどこに行くのか、誰と合うのかも予測できるということです。
日本やヨーロッパに比べて個人情報の扱いに関する規制がゆるいアメリカに特有なことなのかもしれませんが、アメリカで起きることは数年の時差で日本にやってくるというのはこれまでにもたくさんありました。
さらに現在日本の多くの企業や政府のITインフラはアメリカのクラウド企業に握られつつあります。今後日米間での個人情報の取り扱いに関する駆け引きには注意が必要です。
データリテラシー・セミナー : アマゾンのデータを使った改善の仕組み
今でこそ時価総額2兆ドル(約320兆円)を超え、世界中に150万人を超える従業員を抱える超大企業となったAmazonですが、実はその驚異的な成長を支えたのはデミング哲学を元にした改善の仕組みだというのはあまり知られていません。
前回のデータリテラシーセミナーでは、このデミング哲学についての理論的な背景を話しましたが、今回はその実践編として、Amazonがどのようにデータを使って継続的な改善とイノベーション可能にしているのか、その仕組みについて解説します。
Amazonのデミング哲学を元に作り上げた改善の文化の話は、現在ビジネスの改善のためにどうデータを使えばよいのか悩んでいる多くの人たちにとって大きなヒントになると思います。
ぜひ、ご参加を検討下さい!
開催概要
日付:2024年9月11日(水)
時間:18:30 - 20:00 - セミナー、20:00 - 懇親会
場所:AP東京八重洲(東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル 11F ルームO)
講師:西田勘一郎
参加費:セミナー(無料)、懇親会(2,000円)
Exploratoryユーザー会 #33
9月13日に「Exploratory ユーザー会 #33」を開催します。
今回も様々な業界、業種でご活躍されるExploratoryユーザーの方たちに現場でのデータ分析や活用の話を発表していただきます。
Exploratoryユーザーの方はもちろん、データやExploratoryに興味のある方はぜひお気軽に遊びに来て下さい!
ところで、登壇者によっては録画の公開がNGの場合もありますので、可能な限り会場へのご参加を検討ください。
席数が限られておりますので、お申し込みを締め切る場合がございますため、お早めのお申し込みをご検討下さい。
開催概要
日付 : 2024年9月13日 (金)
時間:17:30 - 20:00(17:15開場)、20:00 - 懇親会
会場:株式会社GxP様(東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル48F)
参加費:ユーザー会(無料)、懇親会(2,000円)
データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニング #36
おかげさまでいつもご好評いただいおりますデータサイエンス・ブートキャンプですが、現在12月版への参加申し込みを開始しております。
ビジネスのデータ分析だけでなく、日常生活やキャリア構築にも役立つデータリテラシー、そして「よりよい意思決定」をしていくために必要になるデータをもとにした「科学的思考」もいっしょに身につけていただけるトレーニングとなっています。
データサイエンス、統計の手法、データ分析を1から体系的に学ぶことで、ビジネスの現場で使える実践的なスキルを身につけたいという方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時:2024年12月17日(火), 18日(水), 19日(木)
場所:東京八重洲(対面形式)
今回のニュースレターは以上となります。
それでは、素晴らしい残りの週末をお送りください!
西田, Exploratory/CEO
KanAugust