あなたの知識の究極のテストは、他の人にうまく伝えることができるかどうかだ。
— リチャード、ファインマン、物理学者
こんにちは、西田です!
今週末から3ヶ月ぶりに日本に来ていますが、思わぬ寒さにびっくりしました。普段とても温かいフロリダに住んでいるためか、すっかり春になってるものだととんでもない勘違いをしていました。(笑)
ところで、今週の金曜日はいよいよExploratoryユーザー会です。今回からExploratoryユーザーの方が主体となった開催となり、これまでのようにExploratoryユーザーの方によるビジネスの現場でのデータ分析や活用に関する事例発表、そして新しく今回からライトニングトークや学生の方たちの発表も加わります。今から大変楽しみにしております。
まだ参加枠が若干残っておりますので、データやExploratoryに興味のある方はぜひご参加申し込み下さい!
ところですでに気づかれている方も多いかと思いますが、このニュースレターではたまに直接データとは関係ないように見える意思決定や思考に関する記事やエッセイも紹介しております。先週は「パワポのスライドと箇条書きが人間を駄目にする」を紹介しました。
実はそれには理由があります。私はデータを使う一番の目的は私達人間がより良い意思決定ができるようになることで、そのことによって自分の生活やキャリアを、そして自分のビジネスや組織、コミュニティをより良くしていくことができると信じています。これはExploratoryのビジョンでもあります。
もちろんデータによって私達の仕事を効率化したり最適化したりすることもできるのですが、それは長期的な目的ではありません。こうした効率化や最適化は最終的にはAIなどによって人間の仕事を置き換えていくものですが、人間の意思決定という仕事はいつまでたっても置き換わるものではありません。私達人類が滅びない限りは。
ただ、特に現在のようにテクノロジーが急激に進化し、それによって私達人間も、そして社会も必死に適応することを求められる状況の中では、いかに早く大量の情報を取得し、いかに効率的に右から左にものを流せば良いかというようなことに重きが置かれているように見えます。
しかし情報やデータの量が多くなってもそのほとんどはノイズです。一度立ち止まってノイズの多い情報を自分で精査し、自分に役に立つシグナルを見つけ、自分なりに解釈し、自分の目的の達成ために判断し、意識的に意思決定をしていかなければ、情報の波にただ溺れるだけとなってしまいます。
データ分析の目的が意思決定であるということ、そして今のようなビッグデータ、AI時代にこそ私達人間は意思決定についてもっと積極的に考え、実践していくべきではないかと思い、意思決定や思考に関する記事も紹介している次第です。
それでは、今週もいくつかおすすめのデータ、意思決定関連記事を以下に紹介します!
おすすめのデータ、意思決定関連記事
ファインマンの学習メソッド
学校ではたくさんのことを覚えさせられ、その後ほとんどのことを忘れ、これを毎年毎年繰り返します。
そのせいか、学校を出てもこれを繰り返しがちです。多くの本を読んだりセミナーに参加し、多くのことを知っているのに、そうした知識は自分のものとして消化されず、自分の生活やキャリア、ビジネスを改善するために使えていなかったりします。
そこで今回は、何かを知っているという知識ではなく、自分の人生において使えるという知識にするために使える学習メソッドとして、ノーベル物理学賞を受賞者でもある偉大な科学者であり、愉快な先生でもあるリチャード・ファインマン(1918 - 1988)が提唱した「ファインマンテクニック (The Feynman Technique」を紹介したいと思います。
アメリカでは現在どんなデータの仕事が求められているのか?
Data Job Market 2024: Insights You Need to Boost Your Career - Link
現在のアメリカではどういったタイプのデータの仕事が求められているのか、それをビジネス系ソーシャルネットワークのLinkedIn上で今年2024年に募集されている3000件以上のデータアナリティクス(ミドル・レベル)関連の仕事データを元にまとめた記事がありました。
それによると現在最も多く募集されている仕事の上位3は、データ・アナリスト(Data Analyst)、アナリティクス・マネージャー(Analytics Manager)、そしてデータサイエンティストとのことです。
そしてそうした仕事が募集されている業界のランキングが以下のチャートです。
テクノロジー業界が多いですが、ここで1つ重要なのはこの業界は他の「売切型」ビジネスが多い業界に比べて「SaaS/サブスク型」ビジネスモデルが多いという点です。「SaaS/サブスク型」ビジネスはユーザー、顧客に関するデータが集まりやすく、データ分析手法もある程度確立されているため「データアナリティクス」人材の需要は他の業界に比べ高いものです。
そのため、上のチャートのような結果はある程度期待通りだと思いますが、日本でもこの傾向は増えてくると思われるため、これからデータサイエンス、データ分析の世界でキャリアを伸ばしていきたいという方は、「SaaS/サブスク型」のデータ分析手法を身につけるのも重要かと思います。
こちらのページに「SaaS/サブスク型」の指標やデータ分析手法などをまとめていますので、是非参考にしてみて下さい。
最後に、データアナリティクス関連の職種別に必要とされているスキルを表したのが以下のチャートです。データ・アナリストであればデータ分析と可視化、データサイエンティストであれば統計、機械学習のスキルが求められています。
フランス国民の半数の医療データがリークされる
Data of half the population of France stolen in its largest ever cyberattack. This is what we know - Link
フランスでは国民の半数にあたる人たちの医療データが漏洩したとのことです。個人データ、プライベートなデータはいずれ何かの形で漏洩する、残念ながらそういう認識でいたほうがいいようです。
アメリカでは個人データを敵国に売り渡すのを禁止する大統領令が出される
President Biden Issues Executive Order to Protect Americans’ Sensitive Personal Data - Link
なるほど、アメリカでも中国やロシアなどの仮想敵国に厳しく対応し始めたんだな、って思う人もいるかもしれませんし、いやいやそもそも個人データを敵国に売り渡すのは今までオッケーだったの?って思う人もいるかもしれません。
ところがなんとアメリカでは、今でも個人データを敵国以外の個人だろうが組織だろうがに売り渡すのは法律的に許されています。
EUはGDPRというだれにもよくわからない、そして実効性があまりない個人データを保護する厳しい法律があります。個人データ保護に関しては厳しすぎるEUとゆるすぎるアメリカが2極端を行っています。
今週のデータ
TWD#18 - フェンタニルによって現在内部崩壊中のアメリカ
現在アメリカでは全国的にフェンタニルというオピオイド系の麻薬によって多くの人が死亡し、中毒になって廃人化し、多くの都市、コミュニティは崩壊中です。
もともと2000年以降オピオイド危機と言われるものが起きていたのですが、コロナによる前代未聞のロックダウンが2000年に全国的に行われて以降、前代未聞の規模の被害が全米で起きています。
今回はオピオイド系の麻薬の過剰摂取による死亡者数データを使って、この傾向の解説、さらにデータの取り方、チャートの作り方を解説しました。
Exploratoryのセミナー
#132 - 営業の最重要KPI - 営業活動のパフォーマンスを上げるために見ておくべきファネル指標の作り方
営業またはセールスの方たちがデータドリブンになるには、売上などの結果の指標だけでなく、日々の営業活動がうまくいっているどうかを測るためのファネル指標を定義する必要があります。
こうした指標をモニターしていくことで、自分たちの営業活動のどこで問題が起きているのかを早めに発見し、そうした問題の解決に向け素早くアクションを起こしていけるようになります。
今回のセミナーでは、どのような業界でも共通する営業のファネル構造や、各ファネルで注視しておくべき指標の解説をしました。
データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニング #35
毎回人気のデータサイエンス・ブートキャンプですが、次回開催は6月となっております。
ビジネスのデータ分析だけでなく、日常生活やキャリア構築にも役立つデータリテラシー、そして「よりよい意思決定」をしていくために必要になるデータをもとにした「科学的思考」もいっしょに身につけていただけるトレーニングとなっています。
データサイエンス、統計の手法、データ分析を1から体系的に学ぶことで、ビジネスの現場で使える実践的なスキルを身につけたいという方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時:2024年6月18日(火), 19日(水), 20日(木)
場所:東京八重洲(対面形式)
Exploratoryユーザー会 #31
今週の金曜日、3月29日に「Exploratory ユーザー会 #31」を開催します。
今回より、Exploratoryのユーザーの方が主体となったユーザー会として運営していくこととなりますが、内容の方はこれまでと基本的に同じく、ユーザーの方が普段行われているデータ分析やデータ活用事例を発表していただく予定です。
今回から新たにライトニング・トーク(LT / Lighting Talk)や学生の方の発表枠も追加され、より内容が盛りだくさんとなっております。
Exploratoryユーザーの方はもちろん、データやExploratoryに興味のある方はぜひお気軽に遊びに来て下さい!
今回のニュースレターは以上となります。
それでは、素晴らしい残りの週末をお送りください!
西田, Exploratory/CEO
KanAugust