将来を予測するために、歴史ほどよい先生はいない。3000円ほどで手に入る本の中に何千億円もの価値のある答えが入っているんだ。
— チャーリー・マンガー
こんにちは、Exploratoryの西田です!
つい先日、ウォーレン・バフェットの長年のビジネスパートナーでもあり、伝説的な投資家でもあるチャーリー・マンガーがお亡くなりになりました。彼はビジネス、そして人生における多くの教訓を残してきたことでも有名ですが、その中でも私のお気に入りのいくつかをXの方で紹介しました。ぜひ見てみて下さい。
ところで、来週よりデータサイエンス・ブートキャンプなどのために日本に行きます。3ヶ月ぶりですが、今からとても楽しみです。
その際に、データリテラシー・セミナーを東京駅近くの会場で開催します。今回は「金融のプロも使う景気を予測するための最重要経済指標トップ5」というテーマで話をする予定です。すでに訪れているインフレの時代は、デフレの時代と違って積極的に自分の資産を守る、または増やしていくということをしていかなければ、生活はどんどんと苦しくなるばかりです。そんなインフレの時代、そして現在のようにこれからの経済の先行きが混沌としているとき、私達市民が頼りにできるのはデータです。
そこで今回は景気を見通すために役立つ5つのの経済指標の解説と、さらに自分でデータを手にしてモニターしていく方法を共有したいと思っています。お時間の都合のつく方はぜひご参加下さい。直接お会いできるのを楽しみにしております!
最近の興味深いデータ関連記事
ベースレートを無視する99%の人たち
私達人間はコンピューターと違って、1つの1つの出来事に影響されやすく、全体を見てそこから判断するのが苦手です。
例えば、コロナによる致死率は0.1%前後だとは早い時期から言われてました。それは生存率が99.9%ということでもあります。さらに年齢が20代より若ければ致死率はほぼゼロでした。それでもテレビなどで有名人の死が報道されたりすると、私達はあたかも自分も死ぬかのように恐れたりするものです。
こうした間違いは私達が「ベースレート」と言われる、データを元に、または歴史的に見た上で客観的に導き出すことができる確率を都合よく無視する、または単純に忘れてしまうからです。
結婚や友人関係といったプライベートなことから、もちろんどんなビジネスにおいても、より良い意思決定をするには「ベースレート」が欠かせないにもかかわらず、以外にこの重要なコンセプトはあまり知られていません。
そこで今回は、「Insensitivity To Base Rates: An Introduction」というベースレートの重要さについていくつかの例を交えながら説明している簡潔なエッセイがあったので、ブログ記事としてこちらに書きました。ぜひ、読んでみて下さい!
AIの独占と民主化の戦い
相変わらずAIの独占と民主化における論争は続いています。
ちょっと前になりますが、過去にチューリング賞(コンピューターの世界のノーベル賞)を取り、AIまたは深層学習のゴッドファーザーとも呼ばれ、現在はMeta(Facebook)でチーフ・AI・サイエンティストを務めるヤン・ルカンが最近AIの独占と民主化に関してXでコメントしていました。
彼は、現在OpenAIのサム・アルトマンや元Googleのジェフリー・ヒントンたちがAIの恐怖を煽り、それを元に政府に働きかけAIの規制を作らせ、既存のテック企業以外はAIの開発ができないようにしようとしていると警鐘を鳴らしています。
このAIの独占と民主化に関する議論は、今後私達市民がどのように情報を得て、意思決定、判断をしていくのかに関わる問題でもあります。このあたりについての詳細は、数ヶ月前に日本で開催した「AIは誰のものなのか、独占か民主化か」というテーマのセミナーをぜひ御覧ください。
深層学習ブームの際に言われたレントゲン医師がいらなくなる、はどうなったのか?
An AI revolution is brewing in medicine. What will it look like? - Link
5年ほど前までは、深層学習がブームで、その力に多くの人たちが興奮していたものです。そんな最中、今から7年ほど前に前述のヤン・レカンとともに「AIのゴッドファーザー」と呼ばれていた元Googleのジェフリー・ヒントンは、機械学習(深層学習を含む)によってレントゲン医師はもういらなくなる、と主張していました。
ところが、その後どうなったでしょうか?
現場のレントゲン診断では思ったようにAIによる成果が出ていないため、レントゲン医師の需要は下がることはなかったとのことです。しかし残念ながら、レントゲン医師を志望する人たちは大きく減ってしまったとのことです。
もちろん、AIはまだどんどんと進化しているので、今後どうなるかは分かりません。しかし、わたしたちは誰かが「AIが仕事を無くす」、「AIが世界を破壊する」といった大きな主張や恐怖を煽るような予測をするときは、感情に流されないよう気をつけなければいけません。
今週のチャート
TWD #10 - 世界各地へ展開するアメリカ軍が一番多いのは日本🇯🇵、そして次ドイツ🇩🇪
戦争があるかないかに関わらず世界中に軍隊を常時展開しているアメリカ軍ですが、その最も多いのが日本とドイツです。なぜでしょうか?
中国やロシアという「敵」から守るため、というのが教科書的な解釈です。ただ、この2つの国に共通しているのは第二次世界大戦の敗戦国、さらに戦後瞬く間にアメリカに追いつくほどの経済成長を遂げた国であるので、という視点も重要なのではないでしょうか。
なぜの質問に答えるのは難しいですね。データを見たからわかるというものではありません。それでも、様々な仮説を構築することはできますし、いくつかの仮説を検証することもできます。少なくとも、教科書的な解釈とデータから見える現実とのギャップも見えてきます。
そこで今回は、アメリカの軍隊がどれだけ日本とドイツに多いのか、さらに戦後から最近までにかけてどのように変化していったのかを、rtroopdataというRパッケージから引っ張ってきたデータを使って可視化してみました。
データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニング #34
毎回人気のデータサイエンス・ブートキャンプの次回開催は来年3月です!
3月版も東京でのクラスルームでの対面授業形式での開催となります。授業内容を振り返るためにトレーニング中4回ほど、参加者どうしでグループを作っていただくエキササイズの方も用意しております。
ビジネスのデータ分析だけでなく、日常生活やキャリア構築にも役立つデータリテラシー、そして「よりよい意思決定」をしていくために必要になるデータをもとにした科学的思考もいっしょに身につけていただけるトレーニングとなっています。
データサイエンス、統計の手法、データ分析を1から体系的に学ぶことで、ビジネスの現場で使える実践的なスキルを身につけたいという方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時: 2024年3月26日(火), 27日(水), 28日(木)
場所:東京八重洲(対面形式)
データリテラシー・セミナー #7 in 東京
来る12月13日に東京で開催するデータリテラシー・セミナーでは、金融や投資のプロも見ている、将来を予測する上で重要となる5つの経済指標の紹介と解説、そしてさらにそうしたデータを自分で取得しモニターしていく方法をみなさんと共有させていただきたく思います。
より多くの人たちが、これからの混乱期の荒波を乗りこなし、資産を防衛するのはもちろん、増やしていくためにも、このセミナーを通して、金融や投資のプロが使っている経済指標を民主化できればと思っております。
金融のプロも使う景気を予測するための最重要経済指標トップ5
日付 : 2023年 12月13日(水)
時間:18:30 - 20:00 - セミナー、20:10 - 懇親会
会場:AP東京八重洲(東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル 12F)
対象者:データや経済に興味のある方であれば誰でも歓迎です!
参加費:セミナー(無料)、懇親会(実費)
以上となります。
それでは、素晴らしい週末をお送りください!
西田, Exploratory/CEO
KanAugust