Exploratory Newsletter Vol. 102
偉くなろうとするんじゃなくて、馬鹿なことをしないよう努力し続ける、これこそが私達にとっての長期的なアドバンテージでした。
チャーリー・マンガー(バークシャー・ハサウェイ副会長、ウォーレン・バフェットのビジネスパートナー)
こんにちは、Exploratoryの西田です!
残念ながら、イスラエル・パレスチナでの紛争は最悪の事態に向かって進んでいるようです。このままでは中東全域に広がっていくような勢いですが、誰もこの戦争を止めることができないようです。
昨日も国連でガザの人道状況の改善のため「即時休戦」を求める決議があり、アメリカや日本を除く120の国が賛成し採択されました。(リンク)しかし残念ながら、国連総会での決議は法的拘束力を持たないため、今回の紛争当事国に対する影響力はほぼゼロでしょう。ちなみに今回の決議の投票結果データ(リンク)を取ってきて可視化したのが以下となります。
緑:賛成
赤:反対
グレー:棄権
ちなみに、日本は「棄権」でした。
現在もまだ世界で圧倒的な力を誇るアメリカが本気で停戦を求める気がない限り、この戦争は拡大の一途をたどることとなるのでしょう。
こうしている間にも、当地では毎日のように大勢の子供を含む無実の市民が犠牲になっています。彼らのご冥福を祈るとともに、一刻も早い停戦を願い続けます。
それでは、気を取り直して、今回も興味深いデータ関連記事、今週のデータ、などを皆さんと共有したいと思います。
最近の興味深いデータ関連記事
データとアナリティクスの活用が進むアメリカのアート業界から学べる4つのポイント
美術館、コンサートホールなど、コロナ禍でお客の数が減ってしまった後では、どのように経営を立て直すか、財務状況を改善することで、さらにコミュニティに継続的な貢献ができるか、というのは差し迫った問題であると思います。
そこで、戦略を見直し、経営状況を改善するために、こうした非営利機関でもデータの活用に対する期待は高まるばかりです。
しかし、いざデータを使うとなると、使えるデータがない、または整備されていない、何をどう見て良いかわからない、人材がいない、などハードルがあり、なかなか前に進めないという現実があります。
そんな中、マッキンゼー・コンサルティングがアメリカのいくつかの美術館やオーケストラの組織といっしょに行ったデータ分析プロジェクトの話を最近公開していました。
この話は、非営利機関だけでなく、一般的な企業にとっても役に立つ情報満載です。特に、ビジネスを改善するためにどのようにデータを使い始めればよいか、データを使ってみたもののうまくいかずに困っているといった方には、ぜひ参考にしていただければと思います。
AI最新レポート2023年版
先日、毎年発行されるAIの最新レポートの2023年版が出ていました。その中で個人的に特に興味深かったのは、国別のAIに関するトレンド、そしてAIの頭脳でもあるGPUの争奪戦に関する部分です。GPUの争奪戦に関しては下記に別の記事としてまとめましたので、ここでは国別のトレンドについて紹介します。
AI研究におけるアメリカの独占状態は続く
まずは、AIに関連する研究についてです。世界のAI関連の研究のほとんどがアメリカと中国からというのは、知っている人も多いのではないでしょうか。
以下は他の論文から引用されたAI関連の研究論文(つまり、クオリティの高い論文)の過去3年のトレンドを国別(左側)、そして組織別(右側)に表したものです。
こうした論文のほとんどがアメリカからで、そしてそのアメリカをだいぶ後ろの方から追うのが例年中国なのですが、今年はイギリスが大きく伸びています。
組織別では、Google、Meta(Facebook)、Microsoftといった企業がトップを占め、さらに大学系ではUCバークレー大学、スタンフォード大学とカリフォルニアにある大学が上位に来ています。
AIユニコーンのほとんどはアメリカと中国
AI関連のユニコーン(市場価値1ビリオンドル / 1500億円以上のスタートアップ)企業の数も現在はアメリカがダントツです。そしてそのアメリカをだいぶ後ろから追いかけるのが2位につける中国です。
注目したいのは、ここでも3位にイギリスが来ているということです。残念ながら、日本は上位に組み込めていません。
現在、データサイエンス、AIによって世の中は大きく代わりつつありますし、それに伴いビジネス上のチャンスもたくさん増えています。日本にいる若い人たちには大いにこうしたチャンスを手にし、世界に向けてチャレンジしていってほしいですね。
AIモデルの頭脳 - GPUを巡る熾烈な戦い
前述の「AIの最新レポート2023年版」の中にAIモデルをトレーニングする際に欠かせない、ある意味AIの頭脳とも言える半導体チップGPUに関する大変興味深い情報がたくさんありました。ぜひ皆さんと共有したいと思ったので、以下の切り口で簡単にまとめてみました。
GPUを買い漁る既存のテックジャイアント
GPUクラウド
GPUは新しい石油か?
GPUの王様、NVIDIA
GPUを自前で作るテックジャイアント
AIそして半導体企業としてのTesla
ぜひ読んでみて下さい!
Exploratoryチームからの役立つ分析手法のまとめ
先週、Team Exploratoryの方から、データ分析をしたいと思っているがどこから手を出せばいいか悩んでいる人にとっておきの記事が2本でましたので、こちらで紹介したいと思います。
マーケティング担当者なら使えるべき5つの超重要な分析手法
マーケティング担当者にとって、より多くの新規顧客を開拓し、既存顧客のエンゲージメントを高めることが何よりも重要となります。
データを使うとより効率的に、顧客セグメントを発見しそれぞれの顧客に合ったプロモーションを行ったり、自社サービスを購入される可能性の高い見込み顧客に的を絞った効果的なマーケティング活動を実行していくことができるようになります。
しかし、いざデータを活用し始めようとすると困るのが、そもそもどういった分析手法を使えば良いのかわからないということです。
そこで、マーケティング担当者が使いこなせるようになるべき5つの分析手法を、どのようなシーンで利用できるかという例を使って紹介します。
アンケートデータの有用性を最大限に引き出す3つのポイント
「アンケートはしてみたものの、得られた回答データを有効に活用できていない。」というのは多くの組織が抱えている悩みです。
せっかくアンケートデータを集めたが、ただ平均値を計算して比べたり、自由記述の回答を読んだりするだけで、ビジネスやサービスの改善に向けた具体的なアクションに導くことができない、というのはよくある話です。
そこで、アンケートデータの有効に活用するための3つのポイントを記事としてまとめました。
今週のチャート
アメリカ国債イールド差とリセッションの関係
リセッション(景気後退)が来ると、株式市場の暴落や企業の業績の悪化、それに伴う失業率の上昇など、世の中に大きな混乱が生じます。ところで、そのリセッションは近いうちに来るのでしょうか?
一般的には、いわゆる逆イールドカーブ(長期金利と短期金利の差がマイナス)になると その後にリセッション(グレーの縦線)がほぼ間違いなくやって来ると言われています。
以下はリセッションの開始時期(グレーの縦線)とイールド差(青色)の関係をチャートに表したものです。
ただ、逆イールド状態(イールド差がマイナス)はすでに1年以上続いています。 いつやってくるのでしょうか? ここで注目したいのは、リセッションはいつもそのイールド差がマイナスからプラスになった直後に来るということです。
そして現在、去年の夏より続いた逆イールドのトレンドは逆転し、ポジティブに向かって上昇中です。 これをもって、リセッションがいよいよ始まるのではないか、と金融業界の一部では噂されています。
もちろん今ここで見ているのは相関関係であって、因果関係ではありません。また、上記のような噂も確率的な推測であって、決定的な話ではないため注意が必要です。
このあたりの詳しい解説と、Exploratoryを使った上記のチャートの作り方を動画にまとめたので、ぜひ見てみて下さい!
データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニング #33
現在、毎回人気のデータサイエンス・ブートキャンプ - 12月版の参加申し込みを受付け中です!
12月版も東京でのクラスルームでの対面授業形式での開催となります。授業内容を振り返るためにトレーニング中4回ほど、参加者どうしでグループを作っていただくエキササイズの方も用意しております。
ビジネスのデータ分析だけでなく、日常生活やキャリア構築にも役立つデータリテラシー、そして「よりよい意思決定」をしていくために必要になるデータをもとにした科学的思考もいっしょに身につけていただけるトレーニングとなっています。
データサイエンス、統計の手法、データ分析を1から体系的に学ぶことで、ビジネスの現場で使える実践的なスキルを身につけたいという方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時: 2023年12月12日(火), 13日(水), 14日(木)
場所:東京八重洲(対面形式)
アンケートデータ分析・トレーニング
アンケートデータの加工と分析に特化したトレーニングを11月にオンラインで開催します!
アンケートデータを使って顧客をより深く、多面的に理解するために必要なデータの加工、可視化、そして分析手法を基礎から効率的に学び、現場で使えるスキルを身につけたい方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時 : 2023年 11月23日(水)
場所:オンライン
マーケティングアナリティクス・トレーニング
効果的なマーケティング活動を行うために必要なデータ分析に特化したトレーニングを12月に開催します。
こちらのトレーニングでは、A/Bテストの分析、相関分析、多変量解析、クラスタリング、マーケット・バスケット分析、コレスポンデンス分析、などマーケティング活動において欠かせない分析手法を、学んでいただく予定です。
データドリブンなマーケティング活動を行うために必要なデータサイエンスの手法を短期間で習得したい方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日付 : 2023年 12月11日(月)
場所:東京八重洲(対面形式)
今回は以上となります。
それでは、素晴らしい週末をお送りください!
西田, Exploratory/CEO
KanAugust