こんにちは、西田です!
現在中東では暴力の連鎖がエスカレートしていますが、このままだと周辺国、さらにアメリカやロシアといった大国を巻き込んだ大きな戦争に発展しかねない状態です。
こういったとき、いつも犠牲になるのはたまたまそこに住んでた子供を含む罪のない市民です。パンドラの箱が開かれてしまったのかもしれませんが、それでも一刻も早くこの地に平和が訪れることを祈りたいと思います。
コロナが終わったかと思えば、ウクライナ戦争が始まり、最近アメリカ議会でウクライナへの支援金にストップがかかったため、この戦争もようやく終わりになるかと思っていたら、今度は中東で戦争が始まりました。もちろんその裏ではアメリカと中国の覇権争いも着実に進行中です。
ますます先が見えない世の中となってきましたが、こうしたときこそデータを元に現状をより正確に把握し、仮説を立て、少しでも真実に迫っていこうとする姿勢が求められるのではないかと思います。
すでに2週間が経ちましたが、日本滞在中に「AIとデータの民主化」というテーマでセミナーを行いました。現在アメリカではAIの規制と検閲が大きなイシューとなっていますが、実は歴史を振り返ると、いつも新しいテクノロジーが出てきたときにこの規制と検閲が問題になります。これはガリレオ・ガリレイの時代から続く「情報の民主化」の流れです。その最新版がAIということなのですが、「情報が民主化」される世の中にするためには、私達一般市民が、データとAIに関するリテラシーを上げる必要があるという話をしました。録画ビデオがありますのでぜひご視聴ください。
それでは、今回は3つのデータ、AIに関する記事・ニュースの紹介となります。
最近の興味深いデータ関連記事
ChatGPTが得意な仕事と苦手な仕事 - ビジネスコンサル編
ビジネス・コンサルタントがChatGPTのようなAIを使うと仕事のアウトプットにどういった影響があるのかという疑問に答えるための実験を、ハーバード、ウォートン、MITといった大学とボストン・コンサルティングが最近行いました。
アメリカではビジネスコンサル業界でもトップクラスのボストン・コンサルティングから全コンサルの7%にあたる758人の本物のコンサルタントを世界中から集め、ChatGPTを使うグループと使わないグループに分けた上で、実際に彼らが普段行っている2つのタイプの仕事を行うという実験です。
1つ目は新しいプロダクトのアイデアを構想し、レポートとして顧客(架空の企業のCEO)に提案するというもので、創造力、分析力、説得力、そして書く力が要求されるものですが、ChatGPTを使ったグループは使ってないグループに比べ、12%多くのタスクを完了し、平均すると25%早くタスクを完了し、出されたレポートのクオリティは40%良かったということです。
2つ目は、過去の売上やフィナンシャルに関するデータといった定量データと社内関係者、顧客へのインタビューの結果を分析し、レポートとして顧客(架空の企業のCEO)に提出するというもので、特にデータを分析する力、説得力、そして書く力が要求されるタスクです。こちらは、ChatGPTを使ったグループは使ってないグループに比べ、それぞれ15%から25%ほど精度が落ちたとのことです。
この実験の詳細をまとめたノートを公開しました。ぜひ御覧ください。
次世代データサイエンティストが身につけるべき4つの最重要スキル
データサイエンスやデータ分析プロジェクトが成功するかどうかは、データからいかにワクワクする知見が得られたかとか、いかに最先端の手法を使って分析したかはあまり関係がありません。
むしろ、ビジネスのドメイン知識を持っているか、ビジネスが抱えている問題意識を共有できているか、データからわかったこと、わかってないことを明確にビジネスの言葉で伝えられるかといったことが非常に重要です。
このことに気づけないと、せっかく頑張って勉強し、さらに時間をかけて様々な角度からデータを分析したとしても、その仕事は相手に適正に評価されず、そのことに失望してしまうことになりかねません。
そこで、今回は最近ハーバード・ビジネスレビューに出ていた、「次世代データサイエンティストが身につけるべき4つの最重要スキル」という記事をみなさんに紹介したいと思います。
この記事の中では、データサイエンスまたはデータ分析プロジェクトを成功させるためには以下の4つのスキルが必要だとされています。
問題の本質を見極める力
明確に、そして具体的に問題を定義する力
進捗を共有し、管理する力
解決案とその根拠を伝える力
私の車が毎日集めているデータはどこに行くのだろうか?
What Data Does My Car Collect About Me and Where Does It Go? - リンク
最近の車は、スマホと連携できたり、直接インターネットに繋がっていたりと、何かと便利になってはいるのですが、同時に様々な個人データを収集してもいます。しかし、実はそのデータは収集され、さらに販売されているということはあまり多くの人は気づいてません。
こちらの記事によると、調査したうちの76%の車種が実際に個人データをサードパーティに売っていることが確認されたとのことです。
さらに、たとえ車会社がデータを売っていなかったとしても、集めたデータはデータブリーチといった形をとり盗まれてしまったりしています。
例えば、2013年から2023年までの間トヨタはコネクテッドサービスを使う200万人以上のユーザーのデータがクラウド上で誰でもアクセスできるようになっていました。フォルクスワーゲンとアウディは300万人以上のユーザーのデータが漏洩し、オンラインで公開されていたとのことです。メルセデス・ベンツも去年同じようなデータの漏洩があり、160万人以上のユーザーの住所や電話番号を含むデータが公開されていたとのことです。
今週のチャート
急激に増加中のアメリカ政府の借金の利子払い
現在アメリカ政府の借金の利子払いがすごい勢いで上昇中です。(データ)
現在その額はなんと900ビリオンドル(約140兆円)まで膨れ上がっていますが、大きく2つの要因が直接影響を与えています。
1つ目はアメリカ中央銀行(FRB)がすごい勢いで利率を上げていること。(データ)
2つ目は借金がすごい勢いで増えていること。(データ)
現在33トリリオンドル(約5,000兆円)まで膨れ上がっています。
たまにアメリカから「政府が閉鎖するかもしれない!」といったようなニュースを聞いたことがあるかもしれませんが、実際政府の借金が大変なことになっているため、毎年議会ではその借金の上限を上げる上げないで紛糾しています。
そして、この借金をなんとかするためにはインフレを継続するしかないというのは暗黙の了解のようです。(通貨価値を下げることで、過去の借金の額を将来の収入に対して相対的に下げる。)
この政府の利子払いデータと、さらに政府収入データをFREDから取得し結合した上で、可視化する方法をこちらのビデオにまとめましたので、ぜひ皆さんも自分の手で試してみてください。
データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニング #33
現在、毎回人気のデータサイエンス・ブートキャンプ - 12月版の参加申し込みを受付け中です!
12月版も東京でのクラスルームでの対面授業形式での開催となります。授業内容を振り返るためにトレーニング中4回ほど、参加者どうしでグループを作っていただくエキササイズの方も用意しております。
ビジネスのデータ分析だけでなく、日常生活やキャリア構築にも役立つデータリテラシー、そして「よりよい意思決定」をしていくために必要になるデータをもとにした科学的思考もいっしょに身につけていただけるトレーニングとなっています。
データサイエンス、統計の手法、データ分析を1から体系的に学ぶことで、ビジネスの現場で使える実践的なスキルを身につけたいという方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時: 2023年12月12日(火), 13日(水), 14日(木)
場所:東京八重洲(対面形式)
アンケートデータ分析・トレーニング
アンケートデータの加工と分析に特化したトレーニングを11月にオンラインで開催します!
アンケートデータを使って顧客をより深く、多面的に理解するために必要なデータの加工、可視化、そして分析手法を基礎から効率的に学び、現場で使えるスキルを身につけたい方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日時 : 2023年 11月23日(水)
場所:オンライン
マーケティングアナリティクス・トレーニング
効果的なマーケティング活動を行うために必要なデータ分析に特化したトレーニングを12月に開催します。
こちらのトレーニングでは、A/Bテストの分析、相関分析、多変量解析、クラスタリング、マーケット・バスケット分析、コレスポンデンス分析、などマーケティング活動において欠かせない分析手法を、学んでいただく予定です。
データドリブンなマーケティング活動を行うために必要なデータサイエンスの手法を短期間で習得したい方は、ぜひこの機会に参加をご検討ください!
日付 : 2023年 12月11日(月)
場所:東京八重洲(対面形式)
今回は以上となります。
それでは、素晴らしい週末をお送りください!
西田, Exploratory/CEO
KanAugust